「パソコンを買い替えようと思ったら、去年より5万円も高くなっている」「自作PCのメモリを増設しようとしたら、価格が倍以上になっていた」——2025年11月頃から、こうした声がSNSやPC関連の掲示板で急増しています。
実は今、PCに使われるメモリ(DRAM)の価格が歴史的な高騰を見せています。DDR5メモリの売れ筋製品は、わずか数カ月で約2.8倍にまで跳ね上がりました。サーバー用DRAMに至っては、2年間で2.3倍という異常事態です。
この記事では、メモリ価格高騰の背景にある「AI需要」の実態を解説し、今後の価格予測、そして投資家として注目すべき関連銘柄までを網羅的にお伝えします。PC購入を検討している方も、半導体関連株に興味がある方も、ぜひ最後までお読みください。
いま何が起きている?メモリ価格の異常事態
まずは、メモリ価格がどれほど上昇しているのか、具体的な数字で確認しましょう。
DDR5メモリ:15,000円から35,000円へ
PC用メモリの主流であるDDR5の価格推移を見ると、その急騰ぶりが一目瞭然です。2025年前半には15,000円前後で購入できた32GBキット(16GB×2枚)が、12月時点では35,000円前後にまで上昇しています。上昇率にして約2.3〜2.8倍という、異例の値動きです。
一部のPCパーツショップでは、メモリの購入制限が設けられる事態にまで発展しています。「お一人様2点まで」といった制限は、かつてのマスク不足を彷彿とさせる光景です。
サーバー用DRAM:2年で2.3倍、AI需要が直撃
個人向けPC用メモリ以上に深刻なのが、サーバー用DRAMの価格高騰です。日本経済新聞の報道によれば、サーバー向けDRAMの平均価格は2年間で2.3倍に上昇。2025年だけを見ても、年間で50%以上の値上がりを記録しています。
特に2025年11月には、韓国サムスン電子がメモリの卸売価格を9月比で最大60%引き上げると発表。これが市場全体の価格上昇に拍車をかけました。
PC完成品も値上げラッシュへ
メモリ価格の高騰は、当然ながらPC完成品の価格にも波及しています。世界PC市場のシェアトップ3であるDell、Lenovo、HPの3社は、相次いで製品値上げを予告する異例の事態となりました。
Dellは「かつてない速度でメモリコストが上昇している」とコメントし、2025年12月中旬にも15〜20%の値上げに踏み切る可能性を示唆しています。
国内メーカーでも動きが出ています。マウスコンピューターはハイエンド製品について値上げを検討中と回答。富士通は現時点で具体的な価格改定方針はないとしながらも、「動向次第で価格を変更する可能性がある」と含みを持たせています。
SSD・HDDも連鎖的に高騰
メモリだけではありません。SSD(ソリッドステートドライブ)やHDD(ハードディスクドライブ)の価格も上昇傾向にあります。
SSDの主要部品であるNAND型フラッシュメモリは、DRAMと同じ製造ラインで生産されることが多く、メーカーがAI向けDRAMの増産に注力する結果、NAND生産が縮小されています。2025年末から2026年末にかけて、SSDの供給不足が深刻化するとの予測も出ています。
HDDについても、AIが生成する膨大なデータを保存するための需要が高まっており、価格上昇が続く見込みです。
| 項目 | 価格変動 | 備考 |
|---|---|---|
| DDR5メモリ(32GB) | 15,000円→35,000円 | 約2.3〜2.8倍 |
| サーバー用DRAM | 2年で2.3倍 | 2025年だけで50%上昇 |
| サムスン卸売価格 | 9月比で最大60%増 | 2025年11月発表 |
| PC完成品 | 15〜20%値上げ予告 | Dell, Lenovo, HP |
では、なぜこれほど急激にメモリ価格が高騰しているのでしょうか。次のページでは、その原因を3つの観点から解説します。





