「店長」「課長」など肩書きがあるだけで残業代が出ない状態が続くと、いわゆる名ばかり管理職の問題になり得ます。労働基準法でいう管理監督者は、単なる役職名ではなく、職務内容・権限・勤務態様・待遇などの実態で判断されます。ここでは、管理監督者の考え方と、残業代が発生する場合の計算の要点を整理します。
管理監督者の考え方
肩書きでは決まらない
管理監督者は、労務管理について経営者と一体的な立場にある者とされ、重要な職務と責任、権限が求められます。単に「上司の指示を部下に伝えるだけ」「採用やシフトに裁量がない」「出退勤が一般社員と同じく厳格に管理される」といった実態であれば、管理監督者に当たらない可能性があります。判断は個別具体なので、実態を箇条書きで整理することが重要です。
名ばかり管理職の典型パターン
トラブルになりやすいのは、小売・飲食などで店長や責任者に任命され、長時間労働なのに残業代がゼロというケースです。典型例としては、決裁権が小さく、売上や人員配置が本部主導、勤務シフトが固定され自由裁量が乏しいのに「管理職だから」と一括りにされる状態です。まずは自分の権限(採用、解雇、予算、発注、営業時間の決定など)を整理してください。
管理職でも払う必要がある賃金
深夜割増は対象外にならない
管理監督者に対する適用除外は、労働時間・休憩・休日に関する規定が中心です。そのため、深夜割増賃金に関する規定は除外されないと整理されています。つまり、たとえ管理監督者に当たる場合でも、深夜(午後10時〜午前5時)の労働があれば、深夜割増が必要になる可能性があります。
残業代の計算方法
計算は3ステップで考える
名ばかり管理職で残業代を請求する場面では、計算の土台を丁寧に作ることが大切です。流れは、(1) 基礎となる1時間あたり賃金を作る、(2) 残業の区分(時間外、休日、深夜)を分ける、(3) 割増率を掛ける、の3ステップです。月給制の場合は、月給額を所定労働時間で割って時給換算し、そこに割増率を掛けます。
割増率と算入する手当の注意
割増率の基本は、時間外25%以上、休日35%以上、深夜25%以上です。条件が重なれば上乗せになります。また、割増賃金の算定から除外できる手当は限定列挙で、名称ではなく実質で判断されます。たとえば住宅手当の名目でも一律支給部分があるなら算定基礎に入る可能性があるため、給与明細の内訳をそのまま信じず、制度の整理に沿って見直す必要があります。
迷ったら相談先を先に押さえる
相談は証拠がそろってからが強い
労働局の総合労働相談コーナーや労働基準監督署に相談する際は、勤怠記録、シフト、メール、給与明細などを持って行くと話が早くなります。名ばかり管理職は「実態」の説明が必要なので、権限の有無や勤務態様(自由裁量があったか)を具体例で示せるように準備してください。必要に応じて専門家相談も検討しましょう。
※本記事は一般情報です。管理監督者性の判断は個別事情で結論が変わります。最新の公的資料で確認し、迷う場合は公的窓口や専門家へ相談してください。
出典
出典:厚生労働省(管理監督者Q&A)、厚生労働省(時間外・休日労働と割増賃金)、厚生労働省(管理監督者の扱いに関する記載)



