「もうそろそろ保険に入ったら?」

親からそう言われた経験がある人は多いのではないでしょうか。特に就職や結婚のタイミングで、保険加入を勧められるケースは珍しくありません。しかし、その言葉に違和感を覚える若い世代が増えています。

「掛け捨ての保険はもったいない」「貯蓄型の方がお得」という親世代の常識は、本当に正しいのでしょうか。実は、この考え方こそが時代遅れになりつつあります。バブル期に社会人になった世代は、終身雇用と右肩上がりの経済成長を前提に保険を選びました。しかし、今の若い世代を取り巻く環境は全く異なっています。

YouTubeやSNSで情報収集する若い世代は、ひろゆき氏や両学長(リベ大)の発信から「保険の本当の話」を学んでいます。そして彼らが出した結論は、親世代の常識とは真逆のものでした。

この記事では、掛け捨て保険に対する誤解を解き、いま若い世代が実践している合理的な保険の選び方を解説します。

「掛け捨てはもったいない」は昭和の価値観

「掛け捨ての保険はお金を捨てているようなもの」という感覚を持っている人は少なくありません。しかし、これは大きな誤解です。

保険料とは何でしょうか。それは「万一のときに保険金をもらうという約束(保障)を購入した代金」です。保険期間中、その約束は有効に機能しています。だからお金が戻ってこなくても、決して損ではないのです。

日経ビジネスはこう指摘しています。「1,000円しか払っていなくても、不測の事態が起きたときに1,000万円を受け取れる。これは他の金融商品にはない保険の特徴だ。掛け捨ては損ではなく、『掛け捨てだから保険に入る意味がある』と理解したい」と。

考えてみてください。毎月わずかな掛け金で、万一のときに大きな保障が得られる。これは「レバレッジ」であり、保険本来の価値です。お金が戻ってこないことを「損」と感じるのは、保険の本質を誤解しているからなのです。

数字で見る掛け捨ての合理性

40歳男性が1,000万円の死亡保障を準備する場合を比較してみましょう。

保険タイプ 月額保険料 特徴
掛け捨て定期保険 約2,000円 保障に特化、解約返戻金なし
終身保険(貯蓄型) 約30,000円以上 解約返戻金あり、保険料が重い

同じ1,000万円の保障でも、保険料は15倍以上の差があります。終身保険は解約返戻金があるとはいえ、月3万円以上の保険料は家計を圧迫します。しかも途中解約すれば元本割れのリスクもあるのです。

さらに言えば、貯蓄型保険には「見えない手数料」が含まれています。契約時の手数料、毎年の運用管理費用など、投資信託と比較すると割高なコストがかかっているのです。「貯蓄ができてお得」という印象は、こうしたコストを考慮すると幻想に過ぎません。

保険のプロが「医療保険に入らない」理由

ここで興味深いデータがあります。保険会社の内勤部門で働く人たちは、医療保険に入りたがらない傾向があるというのです。

その理由は単純です。彼らは国の社会保障制度について詳しく知っているからです。日本には「高額療養費制度」があり、どんなに医療費がかかっても自己負担には上限があります。年収370〜770万円の人なら、医療費が100万円かかっても自己負担は約9万円程度で済んでしまうのです。

「保険のプロが入らない保険」に、私たちは本当に入る必要があるのでしょうか。この問いかけは、保険選びの本質を考えるうえで重要なヒントになります。

大切なのは「保険=安心」という思い込みを捨てることです。保険は金融商品であり、冷静に損得を計算すべき対象です。感情ではなく、数字で判断する姿勢が求められているのです。