保険屋が絶対言わない裏側の真実とは

保険の「転換」という名の落とし穴

保険営業から「今の保険を新しい保険に切り替えませんか?」「下取りして、もっといい保険にしましょう」と提案されたことはありませんか。これは「転換」と呼ばれる手続きで、過去に大きな社会問題になりました。

転換の仕組みと問題点

転換とは、現在加入している保険を解約し、その解約返戻金を新しい契約の保険料に充当する方法です。「下取り」「切り替え」という言葉から、保障内容をスムーズに移行させる手続きのように感じるかもしれません。

しかし、専門家は「避けたほうが良い選択」と断言しています。なぜでしょうか。

問題は「予定利率」です。特に1990年代以前に加入した保険は、予定利率が5%以上という高利率のものが多くありました。ところが、転換すると保険料や予定利率は転換時点で再計算されます。つまり、高い予定利率の保険が、低い予定利率の保険に置き換わってしまうのです。

説明されなかった契約者たち

転換が社会問題になった最大の理由は、予定利率が低くなるデメリットが十分に説明されなかったことです。

「知らなかった!」「損した!」「元に戻せないか?」——このような苦情が続出しました。FPの内藤眞弓氏は「十分説明されないまま転換に応じてしまったケースが数多くある」と指摘しています。

30年以内に転換させられた人で、「予定利率が下がる」という趣旨の説明を聞いた契約者はほとんどいなかったとされています。

かんぽ生命の不正販売問題

保険業界の闇が大規模に露呈したのが、2019年に発覚したかんぽ生命の不正販売問題です。

問題の規模

不利益を被った契約 5年間で2万3,900件
法令違反の疑い 20万件超
調査対象 約3千万件、契約者約2千万人

驚くべき不正の手口

手口1:保険料の二重払い

新規契約を結んだ後、古い契約をすぐに解約せず、7カ月目に解約させるという手口がありました。なぜ7カ月なのか。6カ月以内に古い契約が解約されると、新規分が営業ノルマとしてカウントされないルールがあったからです。結果として、契約者は6カ月間、保険料を二重に払わされたのです。

手口2:無保険期間の発生

先に既存の契約を解約させ、4カ月経ってから新規契約を結ばせる手口もありました。解約後3カ月以内の新規契約はノルマにカウントされないルールを逆手に取った手法です。この間、契約者は無保険状態に置かれ、中には病気になって新規加入できなくなった人もいました。

手口3:高齢者への不適切販売

認知機能が低下した高齢者に無理やり保険を売りつけたり、「一定期間解約はできない」など虚偽の説明をしたりするケースも多発しました。

「会社全体が狂っていた」

元局員は「会社全体が狂っていた」と証言しています。過度な成果主義と過酷な販売ノルマ、目標未達者に対するパワハラ紛いの指導。現場の疲弊が、顧客を犠牲にする不正につながったのです。

解約返戻金が「元本割れ」するからくり

「保険を解約したら、払った保険料より少ない金額しか戻ってこなかった」——これは珍しい話ではありません。

なぜ元本割れするのか

解約返戻金が払込保険料を下回る理由は、主に2つあります。

1. 保険料の一部が保障コスト・経費に充てられている

あなたが払う保険料のすべてが積み立てられているわけではありません。死亡保障のコスト、保険会社の運営経費、営業への手数料などが差し引かれています。

2. 長期運用を前提とした設計

保険は5年、10年、それ以上の長期運用を前提としています。短期で解約すると、運用益が十分に積み上がっていないため、元本割れしやすいのです。

特に「低解約返戻金型」の保険は注意が必要です。保険料が安い代わりに、払込期間中の解約返戻金は従来型の70%程度しか戻りません。

「今解約するともったいない」の裏側

保険を解約しようとすると、営業から「今解約するともったいない」「もう少し続けたほうがいい」と引き止められることがあります。これは顧客のためを思っての言葉でしょうか。

実は、2年以内に解約されると担当者にペナルティが課されるのが一般的です。だから引き止めに必死になるのです。ちなみに、契約者の解約の申し出を断ったり、手続きを先延ばしにしたりする行為は、保険法違反の可能性があります。