突然の「開示請求」で老後資金が消える?

開示請求されたら支払う金額はいくらか

では、実際に開示請求を受けて損害賠償を請求された場合、いくら支払うことになるのでしょうか。結論から言うと、慰謝料と弁護士費用を合わせて100万円から300万円以上になる可能性があります。

項目 金額目安
慰謝料(名誉毀損・個人) 10〜50万円
慰謝料(名誉毀損・法人) 50〜100万円
相手方の弁護士費用(開示請求分) 50〜100万円
自分の弁護士費用(示談交渉) 20〜50万円

出典:各法律事務所の公開情報を基に作成

ここで特に注意すべきは、相手方が投稿者特定のためにかけた弁護士費用も請求される可能性があることです。発信者情報開示請求には50万円から100万円程度かかるため、これを加害者に負担させる判決も増えています。

著作権侵害はさらに高額に

BitTorrentなどのファイル共有ソフトで映画や音楽を違法にダウンロードした場合、損害賠償額は桁違いになります。著作権法では、ダウンロードされたファイル数×1ファイルあたりの利益額で損害額を算出するため、数百万円から数千万円、極端な場合は数億円の請求を受けた事例も実際にあります。2024年に示談が成立した事例では、平均約50万円の損害賠償金が支払われています。

老後資金への影響試算

55歳で開示請求を受けたケースを想定してみましょう。慰謝料50万円、相手の弁護士費用負担50万円、自分の弁護士費用30万円で、合計130万円の出費になります。老後2000万円問題で言われる必要資金のうち、約6.5%が一瞬で消えることになります。著作権侵害で350万円を支払うことになれば、老後資金の17.5%を失う計算です。退職金や年金だけで暮らそうと考えていた矢先に、このような予期せぬ出費が発生すれば、老後の生活設計は根本から崩れてしまいます。

突然届く「意見照会書」への正しい対応

開示請求の手続きが進むと、プロバイダから「発信者情報開示に係る意見照会書」という書類が届きます。これは、あなたの情報を開示してよいかどうかを確認するためのものです。届いた時点では違法行為が確定したわけではありませんが、適切に対応しなければ状況が悪化する可能性があります。

回答期限は14日間

意見照会書に同封されている回答書の返送期限は、一般的に14日以内です。この期限を過ぎると「回答の意思がない」とみなされ、プロバイダは回答なしの前提で開示するかどうかを判断します。絶対に無視してはいけません。何の意見も述べずに放置していた事実は、後の示談交渉や裁判で不利に働く可能性があります。

身に覚えがなくても放置は厳禁

「心当たりがない」と思っても、放置は最悪の選択です。プロバイダはIPアドレスを基に契約者を特定して意見照会書を送付しているため、誤って届く可能性は極めて低いです。ただし、家族が同じ回線を使って投稿したケースは珍しくありません。子どもや配偶者に確認することも非常に重要です。

弁護士への早期相談が重要

意見照会書が届いたら、できるだけ早く開示請求に詳しい弁護士に相談してください。相談料は30分で5,000円から10,000円程度ですが、無料相談を受け付けている事務所もあります。権利侵害をした覚えがある場合は、開示に同意して早期に示談交渉を始めることが、結果的に支払い総額を抑えることにつながります。争っても裁判で開示が認められれば、弁護士費用の追加負担を求められるリスクがあるからです。示談交渉の相場は20万円から70万円程度とされており、裁判になった場合よりも低い金額で解決できることが多いです。一人で悩まず、早めに専門家の力を借りることが最善の選択です。