「楽な方」を選ぶ人の末路
難しい選択肢と簡単な選択肢があったら、楽な方を選ぶのは人間として自然なことです。しかし、この「楽を選ぶ」という習慣には、皮肉な法則が働いています。「楽したい」と思う人の人生は苦しくなり、「苦労してもいい」と思う人の人生は楽になるのです。
楽を選び続けると成長が止まる
「楽したい」と思う人の人生は苦しくなる運命にあります。成長も向上もなくなって、どんどん立場が悪くなり、時代から取り残されていくからです。特に40代・50代のビジネスパーソンにとって、変化の激しい現代で成長を止めることは致命的です。
楽な方を選ぶ癖がエスカレートすると「逃げ癖」に発展します。困難な状況に直面するたびに逃げていると、得られることが少ない上に、メンタルや精神力も弱っていきます。楽なほうを選んでいても、いつかは困難な場面に直面するため、肝心な時に大きな挫折感を味わうことになるのです。
一方、「苦労してもいい」と考える人はどんどん成長します。最初こそ苦労しますが、成長していくにつれて楽になっていきます。心理学者アドラーは、「不自由ではあるが、楽な生き方」を選ぶ人は「課題の分離」ができていないと指摘しています。自分の進むべき道を周囲の人に決めてもらう——それは幸せになる勇気がないから変わらないのだと言うのです。
「確実な方」を選ぶとチャンスを逃す
リスクを避けて確実な方を選ぶ——これも一見すると賢い選択に思えます。しかし、10年、20年と時間が過ぎるうちに、リスクを取る人との差はかけ離れたものになっていきます。
リスクを取らない人の10年後
経済評論家の山崎元氏は、資本主義を「リスクを受け入れる者が利益を得るシステム」と説明しています。責任を取ればとるほど、自由になれるし、お金も稼げるし、成功できる確率が上がる——これが資本主義の本質なのです。
ゼロから富裕層を目指す人にとって、大きなリスクを取ることは大前提です。失敗を恐れてリスクを回避してばかりいると、せっかくの大きなチャンスを逃してしまいます。もちろん、無謀な挑戦は禁物です。あらゆる角度から勝算を見極めたうえで、最悪の事態を招いても命までは取られない範囲でリスクを取るのが絶対条件です。
リスクを取らずにいれば、本人は努力をしているつもりであったとしても、たかが知れています。いくら失敗したとしても、リスクを取れば必ず成長という対価を得ることができるのです。失敗から得られた経験、知識、スキルは必ず次の挑戦で活きてきます。
行動経済学が明かす「現在バイアス」の罠
行動経済学者ダニエル・カーネマンが提唱した「現在バイアス」という概念があります。これは「人は目の前にあることがらを過大評価してしまう」という心理的傾向のことです。
現在バイアスが働くと、「今この瞬間の利益」に重きを置いてしまうため、将来の大きな利益よりも目の前の小さな利益を優先してしまいます。たとえば、「夜中に甘いものを食べると太る」と分かっていても、目の前のお菓子を我慢できない——これも現在バイアスの一例です。
有名なスタンフォード大学の「マシュマロ・テスト」では、現在バイアスに流されずに自制心をもって行動できた子どもたちは、その後優秀に成長していたことが示されました。マシュマロを食べるのを我慢できたグループと食べてしまったグループでは、大学進学適性試験(SAT)のスコアに平均210ポイントの差が認められたのです。
「確実な方を選ぶ」という行動も、実は現在バイアスの表れです。今この瞬間の安心を優先して、将来の大きな可能性を捨てているのです。次の章では、このような選択パターンを変えるための具体的な方法をお伝えします。





