いつまで続く?メモリ価格の今後の見通し
「メモリ価格の高騰はいつまで続くのか」——これは、PC購入を検討している消費者にとっても、半導体株への投資を考えている投資家にとっても、最も気になるポイントでしょう。結論から言えば、少なくとも2027年半ばまでは価格高騰が続くというのが、多くのアナリストの見方です。
2026年:さらなる値上げは避けられない
市場調査会社TrendForceの最新調査によれば、メモリ価格は2026年第1四半期(1〜3月)に再び大幅な上昇が見込まれています。上昇幅は20〜30%と予測されており、2025年の高騰がさらに加速する形です。
MM総研は、2026年度(2026年4月〜2027年3月)のPC価格について、「さらに10%以上上昇することも想定される」と予測しています。2025年の値上げに加え、2026年にもう一段の価格上昇があれば、エントリーモデルのノートPCでも10万円を超えるのが当たり前になるかもしれません。
2027年以降:安定化の兆しは見えるか
では、いつ価格は落ち着くのでしょうか。複数のアナリストは、早くとも2027年半ばにならないと価格安定は見込めないと予測しています。
その理由は、メモリ製造設備の増強には時間がかかるからです。半導体工場の建設には通常2〜3年を要し、現在計画されている新工場が稼働し始めるのは2027年以降になります。それまでは、需要が供給を上回る「売り手市場」が続く見通しです。
10年続く「スーパーサイクル」の可能性
さらに長期的な視点では、ストレージコントローラー大手Phison(ファイソン)のCEOが衝撃的な予測を発表しています。同氏は、NANDフラッシュメモリについて、2026年から始まり潜在的に10年間続く「スーパーサイクル」に突入する可能性があると述べています。
AI需要が今後も拡大し続ける限り、メモリの供給不足と価格高騰は構造的な問題として長期化するリスクがあります。「そのうち値下がりするだろう」と様子見をしていると、予想以上に長く待たされる可能性があることは認識しておくべきでしょう。
投資家が注目すべきメモリ関連銘柄
メモリ価格の高騰は、消費者にとっては痛手ですが、投資家にとっては大きなチャンスでもあります。ここでは、AI需要の恩恵を受けるメモリ関連銘柄を紹介します。
海外の注目銘柄
SKハイニックス(韓国:000660)
HBM市場で世界トップシェアを誇る韓国の半導体メーカーです。2025年第1四半期には、DRAM売上高でサムスン電子を抜いて世界首位に躍り出ました。2025年7〜9月期の営業利益は前年同期比62%増の約1.2兆円を記録。今後5年間で12兆円の投資を計画しており、HBM4の量産体制も世界に先駆けて構築済みです。アナリスト35名中35名が「買い推奨」という圧倒的な評価を受けています。
マイクロン・テクノロジー(米国:MU)
米国を代表するメモリメーカーです。2025年12月に発表した12〜2月期の売上見通しは183〜191億ドルで、市場予想の144億ドルを約28%上回るサプライズとなりました。年初来の株価上昇率は168%に達しています。広島県に1.5兆円を投じて新工場を建設中で、2028年頃からHBMの出荷を開始する予定です。
サムスン電子(韓国:005930)
世界最大級の総合半導体メーカーです。今後5年間で450兆ウォン(約48兆円)という巨額の投資計画を発表しており、HBM市場での巻き返しを図っています。モルガン・スタンレーは同社の目標株価を6.5万ウォンから7万ウォンに上方修正しました。
日本の関連銘柄
日本企業にも、HBMブームの恩恵を受ける銘柄があります。
| 銘柄 | 関連性 |
|---|---|
| TOWA | HBM向けモールディング装置で需要急増。SKハイニックス・サムスンから前期だけで22台を受注 |
| ディスコ | 半導体の切断・研削装置で世界トップシェア。HBM製造に不可欠 |
| シンデン・ハイテックス | SKハイニックス製メモリの国内販売代理店 |
| 栗田工業 | 半導体製造に必要な超純水を供給。キオクシア、SKハイニックスが大口顧客 |
なお、これらは情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断は、ご自身の責任において行ってください。
まとめ:PC購入と投資、それぞれの判断ポイント
2025年11月から始まったメモリ価格の急騰は、AI需要という構造的な要因に支えられており、少なくとも2027年半ばまでは続くと予測されています。
PC購入を検討している方へ:2026年にはさらなる値上げが予想されます。「もう少し待てば安くなる」という期待は、今回に限っては裏切られる可能性が高いです。必要なタイミングで購入することをおすすめします。
投資を検討している方へ:メモリ半導体は、AIブームの恩恵を直接受けるセクターです。SKハイニックス、マイクロンを筆頭に、業績好調な企業が多く、成長余地も大きいと見られています。ただし、半導体株は景気敏感株でもあり、価格変動リスクには注意が必要です。
いずれにせよ、AIがもたらす半導体需要の構造変化は、私たちの日常生活や資産運用に大きな影響を与え始めています。今後の動向を注視しながら、適切な判断をしていきましょう。
▶ 参考資料
・日本経済新聞「サーバー用メモリー価格2倍 AI支え」
・PC Watch「メモリ価格が2.8倍に爆上げ」
・PC Watch「PC大手3社が悲鳴、DRAM枯渇で値上げラッシュへ」
・EE Times Japan「AIブームで脚光を浴びるHBM」
・Bloomberg「マイクロン12-2月売上高見通しが予想上回る」
・日本経済新聞「半導体株の主役交代 メモリー株上昇」





