「年金だけでは老後が不安」「このまま働き続けても、もらえる年金は十分なのか」——40代、50代になると、こうした不安が頭をよぎることが増えてきます。
2019年に話題となった「老後2000万円問題」。あれから5年以上が経過した2025年の最新試算では、公的年金だけで暮らす場合、30年間で約1,365〜2,300万円が不足する可能性があるとされています。
しかし、悲観する必要はありません。実は国は、年金を増やすための制度を数多く用意しています。問題は、その存在を知らない人が多いこと。知っているかどうかで、老後の生活は大きく変わります。
この記事では、国が支援してくれる年金増額制度を10個厳選して紹介します。自営業者向け、会社員・パート向け、全員が使える制度まで、幅広く網羅しました。自分に合った制度を見つけて、老後資金の底上げに役立ててください。
年金を「自力で増やす」制度5選
まずは、自分の判断と行動で年金を増やせる制度を5つ紹介します。これらは申請や加入の手続きが必要ですが、効果は確実です。
【制度1】繰下げ受給:最大84%増の威力
年金を増やす最もシンプルな方法が「繰下げ受給」です。
老齢年金は原則65歳から受け取れますが、受給開始を66歳以降に遅らせることができます。遅らせた分だけ、1カ月あたり0.7%年金額が増額されます。
| 受給開始年齢 | 増額率 | 元が取れる年齢 |
|---|---|---|
| 66歳 | 8.4% | 約78歳 |
| 70歳 | 42.0% | 約82歳 |
| 75歳 | 84.0% | 約87歳 |
例えば、65歳時点の年金が月15万円の人が70歳まで繰り下げると、月21.3万円に増額。年間で約75万円多く受け取れる計算です。82歳になる頃には、65歳から受給した場合の累計額を上回ります。
75歳まで繰り下げれば、なんと84%増。月15万円が月27.6万円になります。
ただし、繰下げ期間中は年金を受け取れないため、その間の生活費を確保できることが前提です。貯蓄や他の収入源がある人に向いています。
【制度2】付加年金:月400円で2年で元が取れる
自営業者やフリーランスの方には、「付加年金」がおすすめです。コストパフォーマンスは年金制度の中でも最強クラスです。
仕組みはシンプル。毎月の国民年金保険料(2025年度は17,510円)に加えて、月額400円の付加保険料を納付します。すると、将来受け取る年金に「200円×納付月数」が上乗せされます。
具体例:45歳から60歳まで15年間(180カ月)加入した場合
- 支払う付加保険料:400円×180カ月=72,000円
- 増える年金額:200円×180カ月=年36,000円(月3,000円)
つまり、2年で元が取れ、3年目からは完全にプラス。生涯にわたって毎年36,000円が上乗せされ続けます。これほど確実にリターンが得られる「投資」は、なかなかありません。
しかも、繰下げ受給と併用すれば、付加年金も同率で増額されます。70歳まで繰り下げれば、付加年金部分も42%増です。
注意点:付加年金は国民年金基金との併用ができません。どちらか一方を選ぶ必要があります。
【制度3】国民年金基金:掛金全額が所得控除
付加年金よりも本格的に年金を上乗せしたい自営業者には、「国民年金基金」という選択肢があります。
国民年金基金は、自営業者やフリーランスなど国民年金第1号被保険者が任意で加入できる公的な年金制度です。会社員の厚生年金に相当する「2階部分」を自分で作るイメージです。
主なメリット
- 掛金は全額が社会保険料控除の対象(節税効果大)
- 終身年金タイプを選べば、生きている限り受け取れる
- 掛金の上限は月68,000円(iDeCoとの合算)
例えば、月30,000円を20年間掛けた場合、年間36万円の所得控除が受けられます。所得税率20%の人なら、毎年72,000円の節税になる計算です。
2026年以降は、掛金上限が月75,000円に引き上げられる予定。より多くの資金を老後に振り向けられるようになります。
注意点:国民年金基金の1口目には付加年金相当が含まれているため、両方に加入することはできません。また、一度加入すると原則として脱退できない点も押さえておきましょう。
次のページでは、さらに2つの「自力で増やす」制度と、「働きながら増やす」制度を紹介します。





