国が年金増額支援してくれる制度10選

【制度4】iDeCo:3段階の税制優遇で資産形成

テレビCMでもおなじみの「iDeCo(個人型確定拠出年金)」。自分で運用する私的年金制度で、国が強力に後押ししています。

iDeCoの最大の魅力は、3段階の税制優遇です。

段階 優遇内容 効果
拠出時 掛金全額が所得控除 所得税・住民税が軽減
運用時 運用益が非課税 複利効果が最大化
受取時 退職所得控除or公的年金等控除 受け取り時も税負担軽減

例えば、年収500万円の会社員が月23,000円(年27.6万円)を拠出した場合、所得税・住民税の軽減額は年間約55,000円。20年続ければ、節税だけで110万円になります。

2027年からの改正予定

  • 第1号被保険者(自営業等):月68,000円→月75,000円へ引上げ
  • 第2号被保険者(会社員等):月23,000円→月62,000円へ引上げ

特に会社員の上限引き上げは大幅で、資産形成の選択肢が広がります。

注意点:iDeCoは原則60歳まで引き出しができません。老後資金として割り切れる金額で始めましょう。

【制度5】追納制度:過去の「空白」を埋める

学生時代や経済的に厳しかった時期に、国民年金保険料の免除や猶予を受けた経験はありませんか?その期間の保険料を後から納める「追納」という制度があります。

追納できるのは、免除・猶予の承認を受けてから10年以内の保険料です。追納することで、将来の年金額を増やせます。

追納の効果(2025年度の金額で試算)

  • 1年分(12カ月)追納した場合:年金が年間約20,000円増加
  • 10年分追納した場合:年金が年間約200,000円増加

ただし、全額免除を受けていた期間については注意が必要です。全額免除期間は、保険料を納めていなくても年金額の2分の1がすでに計算されています。そのため、追納しても増える金額は「任意加入」の半分程度になります。

また、3年以上前の保険料を追納する場合は、当時の保険料に加算額が上乗せされます。追納を検討しているなら、できるだけ早めに手続きするのが得策です。

年金を「働きながら増やす」制度3選

続いて、働くことで年金を増やせる制度を紹介します。「長く働く」ことが、年金増額に直結する時代になっています。

【制度6】任意加入制度:60歳以降も国民年金に加入

国民年金の加入期間は原則20歳から60歳までの40年間ですが、60歳以降も任意で加入して年金額を増やすことができます。

任意加入できるのは、60歳以上65歳未満で、保険料の納付月数が480月(40年)に達していない人です。

任意加入のメリット

  • 未納期間があった場合、年金額を回復できる
  • 年約21万円の保険料で、年金が年間約20,000円増加
  • 付加年金との併用も可能

例えば、5年間の未納期間がある人が60〜65歳の5年間任意加入すれば、年金額を年間約10万円増やせます。65歳から20年間受給すれば、200万円の増加です。

【制度7】厚生年金への加入拡大:パート・アルバイトも対象に

2024年10月から、パートやアルバイトの方の厚生年金加入要件が拡大されました。

現行の加入要件(2024年10月〜)

  • 従業員51人以上の企業に勤務
  • 週20時間以上勤務
  • 月額賃金8.8万円以上(年収約106万円)
  • 学生ではない

そして2025年の年金制度改正により、この要件はさらに緩和されます。

要件 現行 改正後
年収要件 106万円以上 2028年までに撤廃
企業規模要件 51人以上 2035年10月に撤廃

この改正により、約200万人が新たに厚生年金の加入対象になると見込まれています。

厚生年金に加入するメリット

  • 将来の年金額が増える(国民年金のみより手厚い)
  • 傷病手当金や出産手当金が受け取れるようになる
  • 遺族厚生年金の対象になる

「106万円の壁」を意識して働く時間を調整していた方も、制度改正を機に働き方を見直してみてはいかがでしょうか。

【制度8】在職定時改定:働いた分が毎年反映される

65歳以上で働きながら年金を受け取っている方に朗報です。「在職定時改定」という制度により、働いた分が毎年年金に反映されるようになりました。

従来、65歳以降に厚生年金保険料を払っても、その分が年金額に反映されるのは70歳になるか退職するまで待つ必要がありました。2022年4月からは、毎年10月に年金額が改定されるようになっています。

仕組み

  • 毎年9月1日時点で厚生年金に加入している65〜70歳未満が対象
  • 8月までの加入実績を反映して、10月分(12月支給)から増額

例えば、月収20万円で1年間働いた場合、年金は年間約13,000円増加します。退職を待たずに「働いた成果」が年金に反映されるのは、モチベーションにもつながります。

次のページでは、「もらえる年金を減らさない」制度と、年金が足りない場合の対応策を紹介します。