インフレで貯金の価値が「静かに溶けている」
低金利だけでも十分に厳しい状況ですが、さらに追い打ちをかけているのがインフレ(物価上昇)です。貯金の額面は変わらなくても、その「買える力」は年々減り続けています。
2025年、物価高は続いている
2025年の消費者物価指数は、前年比で3%以上の上昇が続いています。特に食品の値上げは顕著で、2025年に値上げ予定の食品は約6,121品目。値上げ率は平均17%にも達しています。
家計の消費支出(2人以上世帯)を見ると、2023年3月は約31万3,000円でしたが、2025年3月には約33万9,000円に。わずか2年で月2万6,000円以上も支出が増えているのです。
「実質マイナス金利」という見えない損失
ここで重要なのが「実質金利」という考え方です。
実質金利 = 銀行の金利 − インフレ率
現在の状況で計算してみましょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 定期預金金利 | 0.275% |
| インフレ率 | 約3.0% |
| 実質金利 | −2.7%以上 |
つまり、銀行に預けているだけで、毎年約2.7%ずつお金の価値が減っているのです。これが「実質マイナス金利」の正体です。
100万円が20年後には67万円の価値に
インフレ率2%が続くと仮定した場合、100万円の「買える力」はどう変化するでしょうか。
| 経過年数 | 100万円の実質価値 |
|---|---|
| 5年後 | 約90万円 |
| 10年後 | 約82万円 |
| 20年後 | 約67万円 |
| 30年後 | 約55万円 |
額面は100万円のまま。通帳を見ても減っていません。しかし、20年後にはその100万円で買えるものは、今の67万円分しかないのです。
2022年には、預貯金の購買力低下度合いが48年ぶりの大きさを記録しました。「貯金は安全」という神話は、すでに崩れ去っているのです。
30年間で860万円の差!貯金vs投資シミュレーション
では、貯金ではなく投資をしていたら、どれだけ差がつくのでしょうか。具体的なシミュレーションで見てみましょう。
毎月1万円を30年間積み立てた場合
毎月1万円を30年間、合計360万円を積み立てた場合の結果です。
| 運用方法 | 30年後の金額 | 元本との差額 |
|---|---|---|
| 銀行預金(0.02%) | 約360万円 | ほぼ0円 |
| 投資(利回り3%) | 約583万円 | +223万円 |
| 投資(利回り5%) | 約832万円 | +472万円 |
| 投資(利回り7%) | 約1,220万円 | +860万円 |
銀行預金では30年経っても元本の360万円とほぼ変わりません。しかし、年利7%で運用できれば1,220万円に。その差は860万円にもなります。
米国株(S&P500)の実績は年平均10%
「年利7%なんて現実的なの?」と思う方もいるでしょう。しかし、米国の代表的な株価指数「S&P500」の過去30年間の年平均リターンは約10%です。
| S&P500の実績 | 年平均リターン |
|---|---|
| 過去10年 | 約10.2% |
| 過去20年 | 約8.3% |
| 過去30年 | 約10.0〜10.6% |
過去30年間で、S&P500が上昇した年は22回、下落した年は8回。勝率は73.3%です。長期で持ち続ければ、かなりの確率でプラスになっているのです。
老後資金2,000万円を貯めるのに必要な金額
老後資金2,000万円を65歳までに準備する場合、貯金と投資でどれだけ差がつくでしょうか。
| 開始年齢 | 貯金のみ(毎月) | 投資・年6%(毎月) |
|---|---|---|
| 25歳から | 4万1,700円 | 約1万円 |
| 35歳から | 5万5,600円 | 約2万円 |
| 45歳から | 8万3,400円 | 約6万9,000円 |
25歳から始めれば、投資なら毎月たった1万円で2,000万円に到達できます。しかし貯金だけでは、毎月4万円以上を40年間続けなければなりません。
この差が「複利の力」です。時間を味方につければ、少ない元手でも大きな資産を築けるのです。





