具体的にシミュレーションしてみましょう。
| 経過年数 | 元本 | 年3%インフレ後の実質価値 |
|---|---|---|
| 現在 | 1,000万円 | 1,000万円 |
| 10年後 | 1,000万円 | 約744万円 |
| 20年後 | 1,000万円 | 約554万円 |
| 30年後 | 1,000万円 | 約412万円 |
通帳の数字は変わらなくても、「買えるもの」はどんどん減っていく——これがインフレの怖さです。預金だけに頼る資産形成は、実質的に「資産を減らしている」のと同じと言えます。
リスク3:10年放置で「休眠預金」として国に移管
2018年に施行された「休眠預金等活用法」により、10年以上入出金のない預金は「休眠預金」として国に移管されることになりました。
対象となるのは、普通預金、定期預金、貯金、定期積金などです。「使わない口座だから放置している」という方は要注意です。
ただし、休眠預金になっても「没収」されるわけではありません。手続きをすれば引き出すことは可能です。しかし、住所変更の届出をしていないと通知が届かず、知らないうちに移管されてしまうケースもあります。
対策:使っていない口座でも、5〜10年に1度は100円でも入出金しておきましょう。不要な口座は解約するのがベストです。
注意:2007年以前に郵便局で開設した旧郵便貯金は、休眠預金法の対象外ですが、満期後20年2カ月で権利が消滅します。こちらは本当に「没収」されるので、心当たりのある方は早急に確認してください。
リスク4:相続発生で口座が「凍結」される
親や配偶者が亡くなったとき、銀行口座は「凍結」されます。凍結されると、預金の引き出しはもちろん、公共料金の自動引き落としもストップします。葬儀費用や当座の生活費が必要なのに、お金が引き出せない——そんな事態が実際に起こり得るのです。
凍結解除には、戸籍謄本や遺産分割協議書など多くの書類が必要で、手続き完了まで10営業日以上かかることもあります。
ただし、2019年の民法改正で「仮払い制度」が創設され、遺産分割前でも一部の預金を引き出せるようになりました。
| 仮払い制度の計算式 |
|---|
| 預金額 × 1/3 × 法定相続分(上限150万円) |
たとえば、被相続人の預金が900万円、相続人が配偶者と子2人の場合、配偶者は「900万円×1/3×1/2=150万円」まで単独で引き出せます。
生前対策:遺言書を作成しておく、任意後見契約を結んでおくなど、「もしものとき」に備えた準備が重要です。
リスク5:タンス預金は「最もリスクが高い」
「銀行が信用できないから」「いつでも使えるように」と、自宅に現金を保管している方もいるでしょう。日本のタンス預金は約100兆円にのぼると言われています。
しかし、タンス預金は最もリスクの高い保管方法です。
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 盗難 | 火災保険の盗難補償は上限20万円程度が多い |
| 災害 | 火災・地震で失っても保険の対象外 |
| 相続 | 申告漏れで追徴課税・加算税のリスク |
| 紛失 | 本人以外が場所を知らず処分される可能性 |
緊急用として数万円〜10万円程度を手元に置くのは合理的ですが、100万円以上のタンス預金は危険です。銀行に預ければ、少なくとも1,000万円までは確実に保護されます。





