アスベスト(石綿)による健康被害は、曝露から発症まで長い時間がかかることがあり、原因に気づきにくいのが特徴です。給付の窓口も一つではなく、仕事が原因なら労災、労災の対象にならない場合は救済制度というように、制度が分かれています。ここでは「どの制度に当てはまるか」「何が支給されるか」「申請の注意点」を整理します。
給付制度は大きく2つ
仕事が原因なら労災補償が中心
石綿に曝露する業務に従事していた労働者が、中皮腫や肺がんなどを発症し、業務が原因と認められれば、労災保険給付の対象になります。まずは「職歴」「作業内容」「発症した疾病」を手がかりに、都道府県労働局や労働基準監督署の窓口へ相談するのが基本です。労災の対象かどうかの見立てが付くと、必要な書類も明確になります。
労災の対象にならない場合の救済制度
労災保険の給付を受けられない方には、石綿健康被害救済制度があります。制度の利用には、指定疾病に罹患していることなどについて認定を受ける必要があります。認定後、医療費の自己負担分や療養手当など、制度で定められた給付が受けられます。
救済制度で受けられる主な給付
医療費と療養手当など
救済給付の代表例は、医療費(自己負担分)と療養手当です。療養手当は、治療に伴う医療費以外の費用負担を軽減する趣旨で月額が定められています。ほかにも、葬祭料や、一定の場合に差額調整を行う給付などが用意されています。給付項目と金額は制度資料で定められているため、申請前に最新の一覧を確認してください。
- 医療費(自己負担分)
- 療養手当(制度で定める月額)
- 葬祭料(制度で定める額)
- 救済給付調整金(条件により)
- 特別遺族弔慰金、特別葬祭料(条件により)
遺族に関係する給付と期限
認定前に亡くなった場合でも、要件により遺族が請求できる給付があります。制度には請求期限が設定されているものがあるため、遺族が手続きを行う場合は特に注意が必要です。期限は延長等が行われることもあるため、必ず公的資料で確認し、早めに窓口へつなげるのが安全です。
申請の流れと現実的な進め方
最初にやるべき整理
制度の分岐点は「業務曝露かどうか」です。まずは、(1) 職歴(会社名、勤務時期、担当業務)、(2) 石綿を扱った可能性がある作業、(3) 診断名と診断時期、(4) 医療資料の所在、を箇条書きで整理してください。次に、労災の相談窓口(労働局・労基署)と、救済制度の窓口(環境再生保全機構)どちらに当たるかを相談し、必要書類を確定させると手戻りが減ります。
※本記事は一般情報です。個別の申請可否は、職歴・医療資料・疾病の状況で変わります。必ず最新の公的案内で確認してください。
出典
出典:環境再生保全機構(救済給付の種類)、政府広報オンライン(石綿健康被害救済制度)、厚生労働省(石綿曝露作業従事者向け案内)、厚生労働省(特別遺族給付金)



