住宅ローンの返済が遅れはじめると、家計の問題だけでなく、住まいそのものがどうなるのかという不安が一気に膨らみます。とはいえ、競売は突然起きるものではなく、金融機関との相談や返済条件の見直しなど、早い段階で取れる行動があります。大切なのは、督促に驚いて動けなくなる前に、状況を整理し、現実的に選べる手段を増やすことです。ここでは、裁判所の手続としての競売の流れと、家を失う前にできる対策を、初心者向けに順番にまとめます。

滞納が続くほど選択肢が減るので早めの相談が最重要

家を守る可能性を残すには、返済が苦しいと感じた時点で相談を始めることが基本です。

返済が厳しい状況は、失業や病気、収入減、家計の急な出費など、誰にでも起こり得ます。問題は、相談を先送りすると、返済条件の調整や話し合いの余地が小さくなりやすい点です。まずは、現状を正確に把握して、連絡と相談を早めに始めることが、いちばん効く対策になります。

競売は裁判所の手続で進むため途中から巻き返しにくい

競売は、債権者の申立てにより裁判所が進める不動産の強制的な売却手続です。

住宅ローンの返済が滞り、債権者が法的手続きを選ぶと、裁判所の不動産執行として競売が進行します。裁判所の案内では、不動産執行は申立てから始まり、開始決定と差押え、売却の準備、売却実施という流れで進みます。手続が進むほど、当事者間の話し合いだけで状況を戻すことが難しくなります。

裁判所の強制競売で行われる主な流れ

流れを知るだけで、いま何が起きていて何を優先すべきかが見えやすくなります。

  • 申立て:債権者が目的不動産の所在地を管轄する地方裁判所へ書面で申立てを行います。
  • 開始決定と差押え:裁判所が開始決定を行うと、法務局へ差押えの登記が嘱託され、債務者へ開始決定正本が送達されます。
  • 売却の準備:執行官や評価人による調査が行われ、買受希望者が閲覧する書類として三点セットが作成されます。あわせて売却基準価額が定められます。
  • 売却実施:入札などにより売却が実施されます。裁判所の説明では、入札は売却基準価額から一定額を差し引いた買受可能価額以上で行う必要があるとされています。

ここまで進むと、生活設計そのものを組み替える必要が出てきます。だからこそ、手続に入る前、または入りかけの段階で、相談と条件調整に動く意味が大きくなります。

返済が苦しいときは返済条件の変更を金融機関へ相談する

まず相談すべき窓口は、返済中の金融機関です。

住宅金融支援機構の案内でも、返済で困ったときは返済中の金融機関に相談し、状況や希望を伝えたうえで、返済方法変更メニューの提案や、返済予定額の説明を受ける流れが示されています。相談が早いほど、調整の余地が広がりやすくなります。

相談前に準備しておくと話が早い情報

感情だけで相談すると行き違いが増えやすいので、事実を先に揃えます。

  • 現在の毎月返済額、ボーナス返済の有無、次回引落し日
  • いつから不足が出たか、今後どの程度の期間続きそうか
  • 家計の固定費と変動費の見直し状況
  • 一時的に確保できる資金の目安

ポイントは、返済が遅れてから言い訳をするのではなく、どうすれば返済を継続できるかという前向きな整理にしておくことです。

返済方法変更は目的別にタイプが分かれている

返済条件の見直しは、困りごとの種類に合わせて選びます。

住宅金融支援機構では、返済方法変更メニューを大きく3タイプに分けています。たとえば、収入が減って返済が大変になった場合、一定期間だけ返済額を減らしたい場合、ボーナス返済が負担になっている場合など、状況に応じた考え方が示されています。申請後は審査があり、適用可能な場合に契約を結ぶ流れとされています。

返済方法変更で注意したい点

月々の負担を下げるほど、総支払額が増える可能性がある点は押さえておきます。

返済条件の変更は、目先の資金繰りを改善する力がある一方で、内容によって総返済額が増えることがあると案内されています。家計が限界のときほど、今月だけを見て決めがちですが、変更後の返済予定額と、変更期間終了後の返済が続けられるかまで確認してから進めることが大切です。

銀行協会のカウンセリングサービスで第三者に相談できる

取引先に直接言いづらいときは、相談機関を挟むという手もあります。

全国銀行協会相談室では、住宅ローンやカードローンなどの返済にお困りの個人を対象に、無料のカウンセリングサービスを行っていると案内されています。借入状況などをヒアリングしたうえで、必要に応じて取引先の銀行窓口につないだり、状況によっては他機関の案内をすることもあるとされています。

重要なのは、返済が遅れる前にできるだけ早めに相談するよう呼びかけている点です。相談が早ければ早いほど、家計を立て直す選択肢を残しやすくなります。

放置でよくある失敗は連絡が怖くて何もしないこと

最悪のパターンは、連絡を避けたまま状況だけが進むことです。

督促の電話や郵送物は精神的に重いものですが、無視を続けるほど、当事者間で調整できる範囲が狭まりやすくなります。返済が苦しいと分かった時点で、現状確認と相談予約だけでも先に入れておくと、気持ちの負担も下がり、次の手が打ちやすくなります。

出典:裁判所 強制競売

出典:住宅金融支援機構 月々の返済でお困りになったとき

出典:全国銀行協会相談室 カウンセリングサービスに関するFAQ