借金の返済が苦しくなると、「国が認めた救済制度があるなら自分も使えるのでは」と考える人は多いです。ただ、制度とひと口に言っても、借金が減る仕組みや条件、生活への影響はそれぞれ違います。大切なのは、今の状況に合う手段を選び、手続の途中で失敗しないことです。この記事では、一般に債務整理と呼ばれる代表的な手続の全体像と、対象になりやすい考え方、最初にやるべき整理の順番を、初心者向けにやさしくまとめます。

借金救済制度は債務整理の手続を指すことが多い

借金の立て直しは、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産といった方法で進めるのが一般的です。

この分野は、借金が帳消しになるかどうかだけでなく、返済の継続が可能か、収入が安定しているか、住まいなど守りたい財産があるかで選ぶ道が変わります。制度の名前だけで判断すると、想像していたメリットと実際の結果がズレやすいので、まずは全体像を押さえるのが近道です。

任意整理は返済の仕方を話し合いで組み直す方法

任意整理は、裁判所を使わず、返済条件を調整して完済を目指す考え方です。

返済自体は続ける前提なので、収入がある程度あり、毎月の返済計画を組み直せば回る可能性がある人に向くことがあります。ポイントは、今の返済が苦しい理由が、利息や支払スケジュールの重さなのか、そもそも元金が大きすぎて無理なのかを見極めることです。元金を現実的に返せる見込みがない場合は、別の手段を検討する必要が出てきます。

特定調停は裁判所で返済計画を話し合う方法

特定調停は、簡易裁判所の手続を使って、債権者と返済方法などを調整する制度です。

申立てをすると、裁判所が債権者へ通知し、債務額の確定や返済方法の調整を進める流れが案内されています。話し合いで解決を目指す点は任意整理と似ていますが、裁判所の枠組みで進む点が違います。すでに返済が行き詰まり、放置すると裁判手続に進みそうなときは、早めに状況を整理して相談につなぐことが重要です。

個人再生は返済を続けながら残りの債務免除を目指す手続

個人再生は、将来継続的に収入を得る見込みがあり、一定の条件を満たす人が申し立てることのできる手続です。

裁判所の案内では、無担保債務の総額が五千万円以下であることなどが要件として示されており、再生計画が認可されて計画どおりに返済すると、残りの債務の免除を受けられる仕組みとされています。また、再生計画は原則として三年間で一定割合を分割返済する内容で、返済総額が清算価値を上回る必要がある点も説明されています。

ざっくり言うと、家計が破綻寸前でも収入があり、返済を続ける意思と見込みがある場合に、現実的な返済計画へ組み替える道として検討されます。住まいなど守りたいものがある人ほど、早期に選択肢として把握しておく価値があります。

自己破産は返済が難しい状況で免責を目指す手続

自己破産は、返済が困難になったときに、裁判所の手続を通じて免責を目指す方法です。

裁判所の案内では、個人を債務者とする破産手続の申立てがあれば、原則として免責許可の申立ても行うことが説明されています。申立先は原則として住所地を管轄する地方裁判所で、申立てに必要な費用として収入印紙などの案内があり、郵便料や予納金は裁判所ごとに異なるため確認が必要とされています。

自己破産は、何よりも生活の立て直しを優先する場面で検討されます。一方で、財産の扱いや手続の進み方は状況によって変わるため、思い込みで判断せず、事実を整理したうえで専門家に相談するのが安全です。

私は対象かを判断する前に状況を四つに分ける

対象かどうかは、借金の額そのものより、返済可能性と守りたいものの有無で考えると整理しやすいです。

返済は可能だが今の条件が重すぎる

利息や支払日、返済額の負担が原因なら、返済計画の組み替えで改善する余地があります。任意整理や特定調停が候補に上がりやすい考え方です。

返済は続けたいが元金が大きく現実的に回らない

収入はあるが、今のままでは完済が見えない場合は、個人再生のように計画で立て直す道を検討します。早いほど選択肢が残りやすいです。

収入が不安定で返済が継続できない

返済が止まりやすい状況では、生活の再建を優先した判断が必要になります。自己破産を含め、現実的な再出発の道を検討します。

すでに督促や裁判手続が見えている

書類や期限が絡むと、自己流での対応は危険です。期限の管理と相談の優先順位を上げることが重要です。

相談前にこれだけ揃えると判断が速くなる

制度選びで迷う時間を減らすには、借金の全体像と家計の現状を先に見える形にするのが効果的です。

  • 債権者の一覧と残高、毎月の返済額、支払日
  • 督促状、債権回収会社の通知、裁判所からの書類がある場合は一式
  • 直近の収入が分かるものと、生活費の内訳の目安
  • 預貯金や保険、車、不動産など主な資産の状況

この整理ができると、どの手続が現実的か、どこがボトルネックかが見えやすくなります。資料が完璧でなくても相談自体は進められるため、期限が近い場合は予約を優先し、資料は後から追加する考え方が安全です。

制度を選ぶときに気を付けたい落とし穴

よくある失敗は、情報だけ集めて行動が遅れ、手続が不利な段階に進んでしまうことです。

借金の問題は、放置するほど選択肢が狭まりやすくなります。特に、裁判所の書類が届いている場合は期限があるため、優先順位が変わります。また、返済が苦しいときほど、短期のしのぎで状況が悪化することがあります。制度を使うか迷っている段階でも、まずは全体像の整理と早期相談で、選べる道を増やすことが大切です。

出典:法テラス 新潟地方事務所 スタッフ弁護士コラム 債務整理

出典:裁判所 個人再生

出典:裁判所 破産