40代になると、家計の「固定費」がじわじわ重く感じやすくなります。なかでも保険は、加入した当時の不安に合わせて手厚くしていることが多く、今の暮らしに合っていないまま保険料だけ払い続けているケースが少なくありません。見直しのコツは、いきなり商品を探すのではなく、公的制度でカバーできる範囲と、民間保険で補うべき不足分を分けて考えることです。ここでは、40代からの保険見直しで「削っていいもの」「残したほうがいいもの」を判断しやすくするポイントを整理します。

40代は保障の前提が変わりやすい

40代は、必要な保障が増える人と減る人に分かれやすい時期です。

たとえば、子どもの成長で教育費が本格化する、住宅ローンが始まる、働き方が変わる、親の介護が視野に入るなど、家計の負担が複数同時に増えやすい一方で、独身から家族持ちになるなど生活の形も変わりやすい年代です。加入時のままの保障を続けると、「今はそこまで不要な保障」にも保険料を払ってしまい、結果として固定費が膨らみます。

まずは、家計で守りたいものを整理します。具体的には「入院や手術の自己負担に備えたい」「万一のとき家族の生活費を確保したい」「働けない期間の収入減が不安」など、目的を言葉にするだけで、必要な保障の方向性が見えやすくなります。

公的保障を把握すると過不足が見えやすい

民間保険を考える前に、公的制度でどこまでカバーされるかを知ることが節約の近道です。

医療費は高額療養費制度の仕組みが土台になる

公的医療保険には、医療費の自己負担が過重にならないように月ごとの自己負担に上限が設けられる仕組みがあり、年齢や所得によって上限が異なることが示されています。これを知らないまま「高額な治療は全部自腹になる」と想像して手厚くしすぎると、必要以上の保険料を払いがちです。どの程度まで自己負担が増え得るのかは、加入している健康保険の区分や所得によって変わるため、制度の概要を押さえたうえで、自分の条件に当てはめて確認するのが安全です。

民間保険は公的制度で埋まらない穴を補う発想が基本

金融庁も、民間保険の検討にあたって公的保険制度との関係を理解するための情報を提供しています。公的制度を踏まえたうえで、差額ベッド代や通院交通費、入院中の収入減など「家計の実務として困る部分」をどこまでカバーしたいかを決めると、保障を増やし過ぎにくくなります。

保険料が高くなる原因を分解すると削りどころが見つかる

保険料が高い理由は、主契約よりも特約の積み上げにあることが多いです。

見直しでは、いきなり解約や乗り換えに進まず、まず内訳を分解します。手元の保険証券や契約内容のお知らせで「主契約」「特約」「保険期間」「保険料払込期間」を確認し、どれがコストを押し上げているかを把握します。

保障が重複している部分を探す

複数の医療保険に入っている、入院給付と手術給付が似た内容で重なっている、家族構成が変わったのに死亡保障が加入時のままなど、重複は起こりやすいポイントです。重複は「安心感」は増えても、家計の固定費としては最も削りやすい部分になります。

目的が曖昧な特約は優先度が下がりやすい

特約は便利に見えますが、支払条件が細かく、思ったより使いにくい場合があります。大切なのは「その特約がないと家計が具体的に困るか」を基準にすることです。困る場面が言葉にできない特約は、加入理由が薄れている可能性があります。

特約は支払事由と対象範囲を必ず確認する

同じ名称でも保障範囲が異なることがあります。たとえば、どの治療が対象か、どの医療機関で受けた場合に支払われるか、給付金がいつ受け取れるかなどは契約ごとに条件が違います。見直しの場では「名前」より「支払われる条件」を確認する姿勢が、不要な上乗せを防ぎます。

見直しは手順を決めると失敗しにくい

節約につながる見直しは、手順を固定すると判断がぶれにくくなります。

  • 生活費の固定費として、保険料に上限の目安を置く
  • 公的保障でカバーされる範囲を確認する
  • 自分に必要な保障を目的別に並べ、優先順位を決める
  • 今の契約の内訳を分解し、重複と目的不明の特約を洗い出す
  • 削る場合は、解約ではなく減額や特約の整理など選択肢を比較する

この順番で進めると、「新しい商品を探す前に、いまの無駄が見える」状態になり、結果として保険料の最適化につながりやすくなります。

乗り換えは健康状態と手続きの順番で差が出る

節約目的の乗り換えは、順番を誤るとリスクが増えるため注意が必要です。

保険を新しく契約する場合、一般に健康状態の告知が必要になり、条件が付いたり加入できなかったりすることがあります。また、先に現在の契約を解約してしまうと、保障の空白期間ができるおそれがあります。コストだけで急いで決めず、「新しい契約が成立して保障が始まることを確認してから整理する」など、手続きの順番を意識すると安心です。

説明不足や勧誘トラブルを避ける視点を持つ

見直しの場では、説明不足や誤解が原因のトラブルが起きやすい点も押さえておくと安全です。

国民生活センターは、生命保険に関する相談として、勧誘時の説明不足、契約時の告知をめぐるトラブル、解約返戻金などに関する相談が寄せられていることを示しています。見直しの場では「どんな場合に支払われないのか」「更新や保険料の変化はあるのか」「解約した場合に不利はないか」など、疑問点をその場で言葉にして確認することが、損を避ける基本になります。

出典:金融庁(保険を契約している方へ)厚生労働省(高額療養費制度を利用される皆さまへ)国民生活センター(生命保険関連の相談の件数や傾向)